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- 苺電波コラム 第81回 -

「ゲームで見た夢(8) 〜D -その景色の向こう側- 〜」


■はじめに

もう数時間後で21世紀である。21世紀になったからといってとくに何か変化するわけでもないが(去年の方がよっぽど大変だった。常に20世紀を返すコンピュータでもあれば大変だろうが)、新年に向けてせっせと部屋の大掃除を行った。毎年夏と冬に部屋にあるものの再配置、半年あればいろんなものが減り増えるのでそれを一気にもっとも適切な位置に移動させる、を行った。今回は来年末までに買うであろうものがほぼ確定しているのでそれのスペースも取ってみた。
改めて見てみると1年前に比べて部屋の様子がかなり変わっている事に気づく。今こうしてコラムをノートパソコンで書いている事も大きな違いの一つだが、パソコン本体はもちろん、周辺機器もいろいろなものが増えて減っていった。本棚に整理されているもの(というかもともと大きな本棚すら以前は部屋になかった)の種類も大きく変わっている。結構印象深い1年だった。

■今年1番のゲームは?

何度かコラムに書いたように思うが、今年はゲームに関しては豊作だった。しかしながら、燃えゲー、萌えゲーをほとんどやらなかった事もあり(前者に関しては勤務地の変更でゲーセンに寄らなくなった事が大きく影響しているだろう。後者はもともとあまり趣味ではないジャンルではある)、評価はしているが大きくのめりこんではいないゲームも多々ある。まあ、本当に面白いゲームはいつやっても面白いわけで、時間があるときにのんびりとやればいいと思っている。ついこの間もレイディアントシルバーガンを急にやりたくなって、ついついサターンを取り出して遊んだものである。シルバーガンは今年のゲームではないけれど。
では今年1番のゲームはなんだったっか。プレイ時間だけを見れば Diablo2 だろうし、熱中度で見れば Air だろう。だが、私は敢えて「D〜その景色の向こう側〜」を選んでみた。不思議な雰囲気を持つゲームである。これがゲームといえるのかどうかは少々疑わしいが。

■守るは未来、託すは希望

このゲームを一言で言うならば「ミルヒ」である。これをやった事のある人には理解できると思う。主人公もヒロインも別にいるし、話はほとんどその2人を中心に進むし、ミルヒという名の車掌の孫娘がその2人よりも存在感があるとかいうわけでもない。だけど、全てを見終わった後のなんとも言えない気持ち、言うなれば枕に顔をうずめて笑い出したくなる気持ちの後に残るのはやっぱりミルヒなのである。
それ以外にも、このゲームは非常に淡々と進んでいくにもかかわらず、非常に起伏に激しい。悪く言えば場の雰囲気と文章のテンポがつりあっていないと言えるのだが、一種の才能なのか、これまたなんとも表現しがたい雰囲気を出しており、なんとも表現しにくい気持ちにさせてくれる。確かに冗長で、一気に文章を飛ばしたいと思うところも少なくないのだが、後から読みなおすとそんな部分にも伏線が張られていてにやりとさせられる。少々の我慢を必要とするが、それができる人であれば、きっとこの不思議な雰囲気を理解できると思う。また、マニュアルを読むだけでも面白く、しかけも施されている。是非みなさんにも体験してもらいたいものである。
残念ながらシステム面に関してはそれほど良いものではない。まともに遊べないとかいうものはないものの、フォントサイズと変更すると文字が表示枠に収まりきらず、選択肢を含む場合は選べないという状態になる。たいした処理をしていないにも関わらずなぜか処理が遅い。最近のパソコンのパフォーマンスであれば全然問題ないと思われるが、当時私は非力なノートパソコンでプレイしていたため(動作環境を満たしてはいたが)結構難儀した。まあ、最近のゲームの致命的なバグに比べれば可愛いものである。
余談ではあるが、これを書くに当りちょっとマニュアルを読んでいて、原画が CARNELIAN という事に気がついた。元々画自体にそれほど興味があるわけではないので名前だけしか知らなかったのだが、なるほどこういう絵を書く人という事をようやく知った。だからどうというわけではないが、分かる人には分かる情報だと思う。
この作品を私に勧めてくれた Artemis☆氏には感謝したいと思う。

■最後に

今年買ったゲームを総じるなら「人の評価を見て買った」ゲームが大半である。自分の判断で買ったもののほとんどは昔のゲームのリニューアル版とかほとんどで、いわば「どんなのか分からないゲームにダイブ」というチャレンジャー精神あふれる買い物をしていない(ハードに関していえばそうとも言えないが)。買ってもやる暇がないという現状で、つまらないゲームに時間を割くという事に抵抗がある部分もあるのだが、その辺は関西在住25年の関西人魂(自分でもよく分からないが)で挑戦する事にしよう。
残念ながら、年末に体調を崩し、万全の体制で明日を迎える事はできそうにないが、来年もいい年であるように祈ろうと思う。

それではみなさん良いお年を。


次回の苺電波コラムは baru です。


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