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- 苺電波コラム 第106回 -

「ゲームで見た夢(13) 〜 ノスタルジア 〜」


■はじめに

数日前に体調を崩した。ここ最近睡眠時間を削っていた(仕事だけでなくプライベートでも)為によるものだと思われるが、自分の弱い体には愛想が尽きる。ほぼ半年に一度のペースだ。忙しいときは何かを諦めれば良いものを、欲張ってなんでもかんでもしようとするのがいけないのだろう。だが、時間は有限。別に30歳になったらどうとかという人生設計は、自分としては持ちたくないのだが、そういうわけにもいかないかもしれない。今やれることをできる限りやりたい。
まあ、こういう感じで、時間が無いので最近はファンタシースターオンラインver2とアメリカンセクシーチャンネル3と、時々ゲーセンに行って怒首領蜂やプロギアの嵐をやっているぐらいである。ってなんだかんだ言ってちゃっかり遊んではいるわけで。今年の夏は久々にコミケに行ってシューティング系をさまよってみたいよなぁ、なんて叶わぬ夢を見ていたりする。
偶然ではあるが、前回のコラムは浴衣祭り、今日はお城祭りである。いや、それだけなのだが。

■セピア色した記憶

珍しく前回は次回予告を書いた。と言ってもいつ気が変わらないとも限らなかったのではっきりとは記さなかったのだが、今回は気が変わらなかったらしい。というわけで今回のネタは「ノスタルジア」である。
日本語に訳すと「郷愁」。なんだか分かるような分からないような日本語訳ではある。自分でもどういう感覚が郷愁なのかはっきりとは説明できない。が、私はこういう雰囲気を持った世界観が好きである。いつぞやに取り上げたDもしかり。どこか覚めた目で見てしまう今とは違い、何か元気を分けてもらえるようなそんな感じがする。
さて、ノスタルジアの話であるが。私が X68000 ユーザーだったことは何度か書いたとは思うが、もちろんノスタルジアをプレイしたのは X68000 版なのだけど、最初にこのゲームに触れたのは、実は TOWNS 版である。TOWNS 版の店頭デモの CD の中にこのゲームの体験版が入っていたわけで、それを起動して遊んだのが最初。かなり最初の部分しか遊べなかったのだが、一気に引き込まれた。その後、X68000 版を中古で見つけ、購入して遊んだわけである。
当時私はまだ高校生だった。

■赤いドレスを着た鉄の少女

今更ネタばれもないだろうとは思うが、このゲームの一番のポイントはゲーム中に2回存在する爆弾解除、それも1回目の方である。1回目の解除を担当するのは、このゲームの舞台である船の船員。パンの名前と言う説明があったことを覚えているのだが、どういう名前だったのかははっきりとは覚えていない。間違っているかもしれないが、とりあえずマフィンくん(仮名)ということにしよう。確かアメリカの南部の方の出身だったような気がする。
このシーンにしか出てこない彼であるが、ここは彼の独断場である。目の前にある無粋な鉄の箱。工具を手に解体していく彼の語りを聞いているとまるで可愛い少女に見えてくるから不思議である。一枚一枚ドレスを脱がしてく彼。実際はそんな悠長な状況ではないのだが、そんな彼がとても格好良く見える。
結論を言えば、最終的には彼は必ず彼女に拒否される。最後の最後、1/2 の確率の場面で彼は必ず間違いを選んで大きなビンタを食らうわけだ。しかし彼のおかげで、主人公が解除を行う際、最後の 1/2 の確率が、わざと間違いを選ばない限り、1/1 の確率になる。このゲームで本当に称えられるべきは、彼かもしれない。

■答えはそこにある

このゲームで好きなシーンがもう一つある。爆破されるであろう船から脱出する敵。意気揚揚と逃げる彼に燃料切れだか酸素切れだか忘れたが、トラブルが降りかかる。愛すべき彼は芸も無くパニックに陥るわけで、プレイヤー側にもなぜそうなったのかは知らされないのだが、そこで壁に貼られた一枚の紙が画面に映し出される。日本人ではない彼にその文字が読めるわけも無く。そもそもこのゲームに何人の日本人が居たことか。果たして彼が最後にどうなったのか、知る者はいない。

■最後に

本当は主人公の山田カスケとヒロインとの絡み、特に2回目の爆弾解体での彼女の告白も印象的なシーンであったはずなのだが、残念ながらどんな内容だったかほとんど覚えていない。あと覚えていることと言えば、いきなり誰かに襲いかかられて、上段中段下段という選択肢が現れて、運が悪いとゲームオーバーという非常に理不尽な最後ぐらいか。ここまできてゲームオーバーになったら悔しくて夜も寝られないことになったかもしれないが、運良く私はエンディングを迎えることができた。単にボタンを連打していただけというのは秘密にしておこう。


次回の苺電波コラムは東雲あずみです。


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