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- 苺電波コラム 第15回-


「こみっくパーティー寸評」

う、〆切り、もう過ぎています。で、今必死でかいているわけだ、これが。 いつも山ほど日記で駄文を書いてるくせに、こう、いざかまえてみると、 なかなか書けないのが不思議なものです。


●ネタはどこだ! PartII

コラム: 新聞雑誌などで、短い評論などを書く欄。また、その記事 (新明解国語時点第三版)。

また引用。前回はこの定義とはおもいっきりずれてしまいましたので、 ったので、今回はこれにそってみようかと思います。 最近なにか評論できそうなものはあったかな…そうだ! こみパちょうど 終わったところだ! というわけで、今回は「こみっくパーティー」の 簡単な評論をしてみようかと思います。

●システムとバグ

こみっくパーティー」は、Leaf からこの春発売されたゲームソフトで、同人誌作成のシミュレーション要素と女の子と出会いを含むアドベンチャー要素を会わせた作品です。18禁ソフトの業界では、前半期では最大の売り上げをあげたようです。

詳細はパスしますが、「こみっくパーティー」はシステム上でかなりの問題をかかえています。CD の焼きの甘さについては、ある程度しょうがないとしても、普通に動作テストをしたらすぐに判明するはずの初歩的なバグ、あきらかにお作法のよくないプログラムが原因と思われるバグ、対処する修正パッチによるエンバグなどは明らかに Leaf の落ち度です。

「こみパ」にかぎらず、最近のこの業界では、発売されるソフトにはたいてい不都合があり、即日 patch がネットで公開されることが多くなっています。ネットワークにつながっている人は良いですが、そうでない人だと雑誌の付録やユーザ登録以降の救済があるまでまともにプレイできないという状況がみられるようです。

せっかく良質の作品をだしてもこういった状況だと、プレイ開始すらできません。ソフトハウス自身の信頼にもかかわってきますし、修正のためのコストもかかります。全体での意識改善が望まれるところですね。自分自身も肝に命じておかないといけないです(^^;

バグを考えないことにして、「こみパ」の操作性などをみた場合、はっきりいって、わかりにくくてつかいにくいです。遊んでいるうちにそこそこ慣れてはきますが、なんでそういう操作にしてあるかなーと思う点多数。なかなか操作性に関するノウハウは蓄積されないもののようです。

●割れるこみパの評価

「こみパ」が扱っているのは「こみっくパーティー」という同人誌即売会を中心にした同人誌の世界とその人間模様です。私の全体としての評価は「とても良くできた作品」。絵、音楽、シナリオ、全部優秀。絵は単にうまいだけでなく、描きこみも相当気合いが感じられます。音楽は私はあまりわかりませんが、聞いていて良いかんじです。キャラクタも、単に「売れそうなポイント」を集めてつくっているのではなく、背景から考えてつくられているところが魅力の源泉です。シナリオについては、総合的には「並」ですが、幾つかのシナリオ、具体的には「彩シナリオ」「詠美シナリオ」が非常に良く出来ています。同人誌でなくても、「趣味でものを作る」ということをしている人なら、この2つの対照的なシナリオには感じるところがあることでしょう。

この作品は、ある意味、すごくきわどいところにある作品かもしれません。「同人の世界」を知らない人、知っている人、それぞれでうけとり方は相当違ってきそうです。知らないとわからないようなネタも多くあります。そして、あくまでゲームですから、同人の世界を忠実に表現しているわけではありません。

私自身は、同人活動(同人ソフトのほうですが)をしており、同人誌即売会にも数年前から「売る側」として参加しています。その私の目からみて、「こみパ」の世界は、「同人の理想境」を描いているように見えました。特に人間関係がすごく良い。実際それをねらって来たのでしょう「こんな人いないし、こんなに都合良く話はすすむわけないけど、でも、あったらいいよね」といったところでしょうか。

周囲の声を聞いてみると、比較的長く同人活動をしている人の中に、これに対してかなり反発している人をみかけました。「そんな都合の良いことがあるわけない」「そんなに速く書けないし、そんなに速く印刷できない」といった意見です。実際の世界を良く知っているぶん、理想を語ることに対しての反発も大きいのかもしれません。誤解が生じることに対してのおそれもあるのでしょう。

そういった反発を産んでいること自体が、この作品のすごいところなのかもしれません。同人の世界を知っている人は、できればそういった反発をとりあえずおいておいて、自分たちの世界をみつめなおしてみる意味でも、あと、「理想」な状態を自分の心の中につくってみる、という意味でも素直にプレイして欲しいものです。そして、知らない人には、この作品をプレイして興味がでたのなら、そのまま鵜呑みにするのではなく、興味をもって、この世界に実際に参加してきてもらいたいものです。

●評論って…

昨日、知人から、某同人誌にのせる予定だった「こみパ」に関する対談記事を読ませてもらいました(最終的にはその同人誌は別の部分があがらなくておちてしまったそうな)。この記事、3人の対談形式になっているのですが…、実は、一人で、しかもゲーム未プレイの状態で書いたものだそうです。対談形式の短いものなので、深くほりさげてはいないのですが、私のみたところではそこそこ的確な評価をしているように見える。雑誌や Web などから情報を収集して、イベントの概要や感想などをふまえて書いてみたとのこと。一部のキャラについてはほとんど評価してなかったので、これについて聞いてみると、単に時間切れだったのではしょったとのこと。

作品を実際にプレイせずに評価(したふりを)する、というのは誉められたものではありません。でも、それでもそれなりに形になっているように見えるようなかんじがしてしまう、ということは、私のこの文書も似たようなものなのかもなぁとちょっと苦笑してしまいました。いろいろうだうだ書いてきましたが、とりあえずプレイして、実際にご自分で作品を評価してみてください。その価値がある作品だと思います。


次回の苺電波コラムは ばる の予定です。


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