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- 苺電波コラム 第61回 -

「ゲームで見た夢(4) 〜虹のありか〜」


■はじめに

前回のコラムからなかば衝動的に5本のゲームを買った。うち2本は未だ未開封なのであるが、しばらくゲームを買わなかった反動か、しかし時間が増えたというわけではないので、そのしわ寄せは睡眠時間にきている。やっぱりもっと時間が欲しい。
買ったゲームの内訳は、ネットワークRPG1本、アクションRPG1本、パズル1本、推理物アドベンチャー2本という内訳である。推理物はともかくとして、それ以外の3本は発売時期から何かは容易に予測できると思う。ちなみに、その5本の中に「FinalFantasyIX」は含まれていない。FinalFantasyでコラムを書いていながら買っていないのは何やら嘘をついているような気分になるのだが。前述の通り、まだ未開封のゲームがある状態で買ってもやる時間がない。VIII の時のような気持ちを味わいたくない、というのもある。しかし、IX では3作ぶりに4人パーティが組めるようになったという話を聞き、目下購入意欲上昇中である。今までの3人では不満があった。次のコラムまでに買うかその次になるかは分からないが、買ったらまたこの場で報告する事になると思う。
という風に、最近は一般ゲーしかやっていない。18禁ゲーに面白味が欠けている、というよりは単にゲームをチェックする余裕がない、という方が正しい。そろそろそっち系のゲームもやってみたいなとは思っているのだが、何かおすすめはないだろうか?

■何に興味を引かれたのか?

今回の題材は「虹のありか」である。このコラムを読んでくださってる方のほとんどが聞いた事のないゲームではないかと思う。確かにそれほど話題になったゲームではない。むしろゲームの内容よりも、システムのダメダメさの方が有名でないかと思われるくらいである。私の評価でも、話の面白さは今年買った「D〜その景色の向こう側〜」の方が上だと思っている(これは私の好みに合った部分が大きいとは思うけれど)。なのにこのゲームを題材にしたのは、このゲームには今までやった事のあるゲームの中とは比較にならない、とある部分があったからだ。このゲームの主人公には、兄と妹がいた。こう書くと、特に目新しいところは何もないのだけど、私にとってはかなり重要な要素だった。

ふと、兄というキャラについて考えてみた。この手のゲームで兄という立場のキャラは特に覚えがない。思い出せるのは、MOON. の晴香の兄、次に出てくるのが FinalFantasyVI のエドガー。どちらも主人公の兄、という立場ではない。兄に限らず、ゲームにおいて男兄弟というのは扱いづらいものなのかもしれない。マンガ、ドラマだとそう珍しくもない気もしたが、いざ思い出そうとするとあまり思い出せないあたり、(私の好みが片寄っている、というのもあるだろうが)、兄という存在は、結構新鮮なものなのかもしれない。
同様に妹について考えると、こちらはぽこぽこ出てくる。むしろ「お兄ちゃん」と主人公の事を呼ぶキャラがかなりの割合のゲームに存在している今、珍しいものでもなんでもない。余談ではあるが、ずばりそのまま「妹」という題のマンガが連載されているのを最近気がついて、思わず笑ってしまったこともあった。逆の構図(姉と弟)をほとんど見かけた事がないのも不思議である。

話を「虹のありか」に戻そう。私はこのゲームの、主人公の兄と妹が好きである。兄は良くあるタイプの、父親がなくなって若くして一家の大黒柱になって働いている、というタイプなのだが、その割には存在感が大きい。プレイ時間が短いという事もあり、このゲームではしょっちb、出てくるような印象がある。実際、あるヒロインの話では、かなり重要な位置を占めている。それ以外にも要所要所で手回しが良く、主人公が兄に対して思っている感情も確かに理解できる。実際にあんな人間がいたら、堅苦しくて仕方ないかもしれない。
が、それを横から見ていると妙に引かれる。私には兄がいるのだが、私と同じく兄がいる人、自分が兄な人、そのどちらでもない人で印象は大きく変わるのではないかなと思う。自分の兄がああだったら、楽しくはないだろうが、何か安心できそうな、そんな感じがした。
妹の方はというと、ゲームの展開に直接関係ないところが面白い。これは見た人にしか分からないだろう。可愛いというよりは、兄妹らしい対等さを持った間柄(妹がいない私が書くのは説得力がないが)が良かった。もしかしたら妹らしくない妹に飽き飽きしていたから余計にそう思うのかもしれない、、、なんて書くと、実際に妹がいる人に「あんな妹いないって」という意見をされそうな気もするが。やはり一番ほっとできるのは自分の家で、このゲームには(主人公にはそう感じられる余裕はなかったかもしれないが)そういう雰囲気が確かにあった。

このゲームのキャラは総じて大人びている。一番子供っぽい妹(当たり前だが)でさえ、最初に出てきたときに面白い台詞を吐く。ゲームというよりはむしろドラマのような雰囲気を持っているところがある。が、やはり兄妹の存在感の強さにはかなわない。私にとっては大きな利点ではあるけれど、ゲーム全体から見れば、大きな欠点だと思う。他の話の悪い部分が余計に目立つような感じがした。

■最後に

ちなみに私はこのゲームを半分ぐらいしかクリアしていない。妹の話にしても半分ぐらいしか進めていないし、ヒロインであろう幼なじみの話はほとんど進めていない(まあこれは、私は待つ女が嫌い、というのもあるのだけれど)。全ての話を見ればもしかしたら若干評価が変わるかもしれない。しかし、私は今の評価で(しかも「やっぱ兄(姉)弟(妹)は多い方が良いよな」という、おそらくシナリオライターが意図してなかったであろう感想のおまけもつけて)十分である。値段分の価値はあったと思う。これでシステムがまともであれば、人に勧められる作品になったかもしれないと思うと、少し残念である。


次回の苺電波コラムは東雲あずみです。


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