「おはようございます、秋子さん」
「おはようございます」
朝食の席につくと、白い湯気をあげる味噌汁と銀色に輝くご飯が並ぶ。
今日は和食か。ということは…
ねちねちねちねち
「あゆっ、あんまり秋子さんの好意に甘えてばっかりじゃ…」
「…納豆ごはん」
「な、舞っ! なんでここにいる!!」
「…すごく嫌いじゃないから」
「お前は納豆の匂いにひかれて来たのかっ!?」
舞はオレには目もくれず熱心に納豆をこねている。
「あら、お知り合いなんですか?」
「え、ええ、まあ」
ここのところの夜間外出に関わることなので、なんとなく後ろめたい。
「ところでどうして?」
「朝、ゴミを捨てに出たら…」
「ばったり会って、朝食に招待したんですね」
まったく秋子さんは…
そこが秋子さんの良い所であるのは解るのだが、少し呆れてしまう。
「いえ、雪の中に倒れていたものですから」
「…ばったり」
見たところ制服が破けているでもなく、大きな傷はないようだ。
「大丈夫なのか?」
「…お腹空いてたから」
びよーんと伸びる納豆を熱々のご飯にかける舞を横目で見ながら、オレは佐祐理さんにからかわれる覚悟を固めていた。
おわり
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