このページでは、DNMLを使ってLVNS、特に『To Heart』を再現する際のTipsを紹介します。
VNは“小説”です。しかし、その表示法は従来のものとは異なります。そのため、VNとして読みやすい文章にするには、普通の小説とは違った工夫が必要です。LVNSにはそのための工夫が盛り込まれています。
読みやすいVNを作るため、より『To Heart』にそっくりにするためには、DNMLを使ってテキストをどのようにマークアップしたら良いのでしょう?
担当: Hos, ともひろ
LVNSでは基本的に、クリックすると次の一文がズラズラっと表示されます。長い文が一遍に表示されると、読者の目が追いつきません。一文は一行半(=60文字)程度に抑えましょう。また、どうしても長くなってしまう場合もあります。その場合は、読点“、”に合わせてクリック待ちを設けましょう。DNMLでは<w>を挿入します。テンポ良くクリックさせることが、読みやすいVNを作るコツではないでしょうか?
逆に、演出として、長い文を一遍に表示させたり、頻繁にクリックさせることもあります。例えば、長考の表現として“…”で画面を埋めたり、“ちりちりちり…”を繰り返す場合など、擬音的な文字表示ではクリック待ちを設けない場合があります。志保のセリフを長めにすることでアイツの饒舌ぶりが表現できるのではないでしょうか (^^ゞ
一方、セリフの中では改段落できないので、句点“。”や読点に合わせてクリック待ちを設けましょう。時間経過を現わす場合などにも用います。例えば、本棚の中を見ている場面で…
えーと、少女漫画に、<w>文庫本…<w>百科事典。<br> もしや、百科事典の一冊がくり抜かれていて、その中に<w>…そこまでして隠すもんか?<p>
ここでは、本の種類毎にクリック待ちを設けることで、一段一段見ていることを表現しています。そして、次行のクリック待ちは考え直すまでの“間”を現わしています。
従来の小説には段落があります。大きな意味のまとまりが一つの段落となります。例えば…
あかりに案内されて2階にあるあかりの部屋へ来た。案内されてと言っても勝手知っ たるあかりの家だ。がきの頃から雅史と一緒に上がり込んでいて、部屋の配置などは把 握している。今登ってきた階段もよく遊び場にしたもんだ。そこが記憶の中よりも暗く 窮屈に感じたのは、たぶんオレの体が大きくなったからなんだろう。 「大きな声で名前を呼ばれるのって、ちょっと恥ずかしいね」 あかりがはにかんだ笑いを浮かべながら言った。
てな感じになると思います(40桁で改行)。段落頭を一文字インデントするのもお約束ですね。これをLVNS風にすると…
あかりに案内されて2階にあるあかりの部屋へ来た。 案内されてと言っても勝手知ったるあかりの家だ。 がきの頃から雅史と一緒に上がり込んでいて、部屋の配置などは把握している。 今登ってきた階段もよく遊び場にしたもんだ。 そこが記憶の中よりも暗く窮屈に感じたのは、たぶんオレの体が大きくなったからな んだろう。 # ここで改ページ 「大きな声で名前を呼ばれるのって、ちょっと恥ずかしいね」 あかりがはにかんだ笑いを浮かべながら言った。
こうなります。句点“。”で必ず段落が変わっています (セリフの中は除く)。インデントされているので、“改行”ではなく“改段落”です。しかし、本来の段落の意味は失われていると考えて良いでしょう。その代わりに改ページが意味の区切りとなっていることがあります。
上の例をDNMLで記述すると次のようになります (□は全角空白)。
□あかりに案内されて2階にあるあかりの部屋へ来た。<br> □案内されてと言っても勝手知ったるあかりの家だ。<br> □がきの頃から雅史と一緒に上がり込んでいて、<w>部屋の配置などは把握している。<br> □今登ってきた階段もよく遊び場にしたもんだ。<br> □そこが記憶の中よりも暗く窮屈に感じたのは、たぶんオレの体が大きくなったからなんだろう。<p> 「大きな声で名前を呼ばれるのって、ちょっと恥ずかしいね」<br> □あかりがはにかんだ笑いを浮かべながら言った。<br>
句点の後ろに<br>を挿入しただけではありません。長い行の読点“、”に合わせて、<w>を挿入してクリック待ちを設けてみました。また、あかりのセリフを区切りに、改段落の意味で改ページしてみました。