今日は昼ごろから雨になった。こんな日はどうも電波のとどきがわるくなる。でも、こんななかでも、瑠璃子さんの電波にははっきり同調できるんだ。
ちりちり、ちりちり、ちりちり
……ほら。瑠璃子さんの電波は暖かいから、ほかのものとははっきり区別できる。
ごうちゃん…きこえる?
うん、きこえるよ。だって瑠璃子さんだから
くすくす。今日、一緒に帰ろう。ね
え、うん。わかった。
くすくすくす
じゃ、放課後に…
「瑠璃子さーん」
玄関のまえでたたずむ、人形のような瑠璃子さんに走りよる。
「あ、ごうちゃん (^^)」
「あれ、瑠璃子さん、傘は?」
「わすれちゃったんだ。だから、ごうちゃんにいれてもらおうと思って…」
こうして、ぼくは、瑠璃子さんと、お互いの電波を感じながら、相々傘で雨のなかを帰ったのだった。
(完)