秋だ。
秋といえばやっぱり食欲の秋だ。焼きいも、中華まん、おでん…瑠璃子さんと帰りに買いぐいだー。とか思って屋上にいったらいない。おかしいな。ちょっと探してみよう。ちりちりちりちり……。瑠璃子さん発見。
西校舎のほうにいく。図書室だ。静かに瑠璃子さんをさがす…いた。瑠璃子さんは、図書室のすみの机にすわって、じっと本を読んでいた。窓から西陽がさしこんでいる。赤い夕日のなかに本を読む瑠璃子さんの姿がうかびあがる。瑠璃子さんの、細い、髪の毛の一本一本がきらきらと、赤く、輝く。
「………………」
おもわずみとれてしまう。
「あ、ごうちゃん」
微笑む瑠璃子さん。
「この本とてもおもしろいんだ」
「へえなんて本?」
「オモイデ教っていうの。ごうちゃんもよんでみる?」
「こんど借りてみるよ」
(完)