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―― 妄想伝奇 巻の13


やっぱ秋だなぁ。朝夕がさぶくなってきた…

ぎぎぎぎぎぎぎぎぎ、屋上の扉を開く。扉…世界をへだてるもの

こちらの世界とあちらの世界。あちらの世界にまつものはなに?……

「るーりーこさん」

「あ、ごうちゃん」

放課後、屋上にいる瑠璃子さんに会いにいくのがこのところの僕の日課だ。

「今日はさむいねー」

「くすくす。そうだね」

「あれ、るりこさんちょっと震えてるない?」

「ちょっと風にあたりすぎたかな」

僕はとつぜん瑠璃子さんをだきしめる。

ぎゅっ

「あ、ごうちゃん………………」

驚く瑠璃子さん。でもすぐに瑠璃子さんもしがみついてくる。

「あったかいな。ごうちゃんの体……」

(完)