夕日が町並みに沈んでいく。二つの影が長く、長くのびる、銀杏の並木道。
今日あったこと、受信したおかしい電波の話、今夜のテレビ番組、たわいもない話をしながら、二人ならんで歩く。突然、瑠璃子さんがぼくの腕をかかえるようにしてくっついてきた。二つの影がひとつにかわる。
「る、瑠璃子さん」
「くすくす。くっついててもいいよね?」
「…うん」
「ごうちゃんから電波が流れ込んでくる…」
「今日は僕がアンテナだね」
「うん」
夕日にてらされて、赤く、赤くひかる電気の粒が、僕たちの周りにあつまっている。二人をつなぐ赤い、電波の流れ…
「ねえ、ごうちゃん」
「ん?」
「コンビニであったかいもの買っていこうよ」
左半身に瑠璃子さんのぬくもりを感じながらたべる肉饅の味は、なにかおいしい。
(完)